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病理診断のキーポイントKey points of pathological diagnosis

病理診断は患者さんの診断、治療の基盤になることを理解することが最も重要で、このことが病理診断のキーポイントになる。

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病理診断の実践と向上Practice and point of pathological diagnosis

  1. (1)多数の症例を経験

病理診断では多数の症例を経験することが大切である。外科医が多数の症例の手術経験により能力が向上するのと同じく、病理医も多数の症例の病理診断をすることにより診断能力が向上する。設立者は現在まで約50万件の病理診断を自ら行っているが、病理診断のさいに大切なことは1例、 1例を大切に診断することにつきる。不幸にして誤診をした場合には、誤診した症例のガラススライドを長時間みて、どうして誤診が起きたかを検証することが大切で、同様な症例に再び遭遇することが多く、この検証により、再度の誤診は避けられる。

  1. (2) マクロとミクロの一体化

手術検体を切り出した場合は、切り出した症例の顕鏡を自ら行うことが大切である。この作業をとうして、肉眼所見と組織所見の一体化を図ることができる。このことが術中迅速病理診断に活かされる。術中迅速病理診断ではマクロで病変を把握し、少数の凍結切片を切り出すので、切り出しの部位を決めるときには、マクロとミクロが一体化した能力は迅速病理診断を正確に行うことへ導く。

  1. (3) HE染色での診断が基盤

病理診断ではHE染色で所見を正確に把握し、鑑別診断を考えて、診断を行うことが最も大切である。設立者の師匠であるSteven G Silverberg教授はHE染色での診断を大切にしており、また設立者が親交のあるMD Anderson Cancer CenterのMoran教授、Silva教授、Fuller教授、および骨軟部腫瘍の病理診断では国際的に高名なUnni教授も同じ意見である。

  1. (4) 術中迅速病理診断では手術室へ行き結果を伝える

27年前に外科病理・婦人科病理で国際的に有名なSteven G Silverberg教授のもとへ留学し、教授から術中迅速診断の際に手術室へ入り、結果を執刀医へ直接伝えることの重要性を教えられ、その後、約1万件の術中迅速診断の結果を手術室で執刀医へ伝え、執刀医との対話を繰り返し、その結果として、病理医が手術室へ行くことの利点は以下の3点にあると考えられた。
①正確な臨床情報が得られ、患部、病変が直視下で把握でき、これら所見を参考に病理診断ができる。
②術中迅速診断で的確な診断をつけることが困難な症例では、執刀医に困難な理由を直接話すことにより、その困難さを理解してもられ、対応策を手術室で考えられる。例えば、微小検体ではサイズの大きな検体採取を依頼する。また病変が外れている場合もあり、このような時は病変部の採取を依頼する。病変が外れる例としては悪性リンパ腫があげられ、悪性リンパ腫疑いで、腫大が軽度のリンパ節が取られたが腫瘍病変がなく、術野をみて、腫大の顕著なリンパ節が確認でき、そこからの迅速でリンパ腫の確定がつくことの経験はある。これはリンパ節を採取する外科医がリンパ節切除に伴う合併症を避けるために小さめのリンパ節を採取することにより起こるできごとである。
③執刀医と術式について協議できる。
特に癌の断端の評価で術式を協議することが多く、設立者は迅速で作成したガラススライドに断端陽性部にマークをつけて手術室へ持っていき、断端陽性の範囲を明確にして、執刀医と断端陽性の症例での追加切除などの術式について協議している。また、設立者の思いで深い症例として胃癌の症例がある。症例は早期胃がんで胃亜全摘が行われ、口側(近位)断端が陽性であった。陽性範囲は粘膜内の小範囲のため、陽性部をマークして執刀医へ提示し、一部の追加切除で断端陰性になり、手術が終わり、胃全摘は避けられた。患者さんにとって胃亜全摘と胃全摘では術後の負担に大きな違いがあるので、過大手術が避けられた点で特筆すべき出来事と考える。
以上をまとめると、術中迅速診断の目的である手術術式の決定のために病理医は執刀医と綿密に協議すべきで、このためには診断の難しい症例では手術室での執刀医との対話をお勧めします。

  1. (5) 臨床各科との病理診断カンファランスは重要

設立者は現在順天堂大学練馬病院、病理診断科で特任教授とし勤務しており、練馬病院での外科・放射線科・病理診断科が合同の外科症例の術前・術後カンファランス、婦人科・泌尿器科・脳外科との手術症例の病理診断カンファランスに出席し、また順天堂大学本院での婦人科、消化器内科(肝臓研究部門)との病理診断カンファランスに病理コメンテーターとして参加しているが、臨床各科とのカンファランスにより、患者さんの診断、治療の現況を把握し、病理所見をとうして患者さんの治療を総合的に判定できるので、臨床各科との病理診断カンファランスは必須と考える。

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